(根治には至らなかった症例ですが、UPいたします。かなり長文になります)
50代、山口県在住の女性の方。
三年前の夏より股関節の痛みがひどくなり、病院からは「変形性股関節症の末期」と診断され、
“もうどうしようもない、歩けなくなるまで待ってください。そうなったら手術です。そうでなくても60~70才には絶対に手術すること!”
と言われ、
それから診察のたびに先生から、手術を強く(かなり声を荒らげて)言われているようです。
股関節の外側の痛みが特にひどく、同じ症状で改善された方の「喜びのお声(※下記リンク参照)」をご覧になり、お越しになられました。
“このままだと、職場をクビになるかもしれません・・”
初回のプレカウンセリングにて、そんな切実な思いもお伝えいただきました。
月に二・三回、ご自宅より車で新山口駅まで向かい、そこから新幹線にて広島にお越しになられていました。
こう書くと簡単ですが、山口から施術のためだけに新幹線でお越しになることが、どれほど大変なことか。
本当に頭が下がる思いで、施術させていただいておりました。
結論から先に言いますと、
三回目の施術まではさほど変化は見られませんでしたが、四回目から痛みが改善していき、
約八ヶ月の歳月を重ね、階段を上がる時以外は、歩いても苦にならない状況までになりました(お友達からも、歩く姿が良くなってるねと言われたそうです)。
この方の身体についてですが、
【腰骨の横にある筋肉(=大腿筋膜張筋)】が、毎回押すと強い反応を出されていました。
ここは階段を登る時に足を上げる筋肉でもありますので、恐らくここがメインの原因と思われます。
先述しましたように、施術期間の後半段階でも
“階段を上がる時だけが、痛みがかなり気になる”
と言われておられ、
さらに
“股関節だけでなく、太ももの外側まで痛く感じることがある”
と訴えられていたことからも、
この筋肉がメインの原因であるという可能性が高いです(この筋肉は太もも外側にも痛みを送ることがありますので)。
ここを緩めることが毎回の施術時の課題でした。
そしてもう一つ、
ある一時期、【肋骨と骨盤の間の筋肉(=腰方形筋)】をかなり強く反応されていた期間がありました(少し押さえても大きく声が出るほど)。
この筋肉、原因がその「表面」に潜んでいるのか「奥」に潜んでいるのかで、痛みを送る場所が違ってきます。
この方が強く反応されたのはこの筋肉の「表面」、肋骨のきわの部分でした(※下の写真、黒い円で囲んだ箇所)。
ここから痛みが送られる場所は【お尻の筋肉(=中殿筋)】の部分ですので(※下の写真、赤い円で囲んだ箇所)、
股関節外側に直接痛みを送るわけではないのですが・・。
この【お尻の筋肉(=中殿筋)】というのが、股関節外側に痛みを送る筋肉なのです。
ですので、
・腰方形筋→中殿筋→股関節外側
といったドミノ倒しのようなメカニズムで、痛みが引き起こされていた可能性が考えられます。
事実、激しく反応されていたそのポイントが沈静化してより、症状の改善感がかなり増して、
病院の検査でも、運動能力・動かせる範囲など現状維持を保てているとの検査結果でした。
「現状維持」
“その結果が出ても病院の先生は無表情・無感想でした。現状維持できるだけでも、それがどれほど嬉しいものかというのを、全然分かってくれなかったですね・・・”
検査結果判明後にお越しになられたさい、少し寂しそうに言われていました。
メディカル・ドクターにとっては、手術するかどうか以外には関心がないということでしょうか・・。
(この方が通院されている病院は、股関節の手術に関しては全国的に有名な病院であり、その中でも一番の技術を誇るドクターということですが・・)。
そうだとしたら、とても残念なことですが・・。
話を戻しまして。
この直近で気になられていたのが、
“左の股(膝)を内側に閉じようとすると、股関節の内側(=ソケイ部。俗に言う、コマネチラインと呼ばれる所です)がすごく痛い”
ということでした。
それを聞き、痛みの原因は【内またの筋肉(=内転筋群)】ではないかと予測しました。
この筋肉は「群」という名前のとおり、「足を内側に閉じる(=股関節の内転)」時に使われる筋肉の集まりの名前で、
それぞれ【大内転筋】【長内転筋】【短内転筋】と細かく分かれます。
案の定、ここを肘で慎重に押さえると、かなり強い痛みの反応がありました。
この筋肉は硬くなると、股関節へ痛みを送るだけでなく「こわばり」も生み出し、膝の内側にも痛みを送ります。
ここを入念に緩めた後に、アフターカウンセリングにてクライアント様が言われたのですが、
「足を内側に大きく倒せるようになった、そしてその時に痛みもほとんど走らない・・!」
とのことでした(1回の施術でこれだけ結果が出るのもレアなケースです)。
こうして足掛け八ヶ月—。
様々な状況に対し、その都度施術を微調整しながら、少しずつではありますが薄皮をはがすように、改善の方向にむかわれていかれていました。
ですが、急に状況が変わりました。
御年90になられる御母様がお倒れになり、長期にわたってその看病に携わる必要が生じ、継続して広島への通院がこれからできなくなったとのことでした。
少しずつ改善の方向に向かわれておりましたので、御本人様が一番残念がられていたのですが・・・、致し方ないと思うしかありません。
“落ち着いたらまた必ず来させてくださいね”
その言葉を最後にお帰りになられるクライアント様の後ろ姿を、ずっと見送らせていただきました。
広島-山口間を往復されていた際の心境をお察ししながら—。
いつかまたお越し頂ける日を、心待ちにしています。
(このクライアント様が来院されるきっかけとなった、同じ症状が改善した方からの「喜びのお声」はこちら↓)