40代、広島在住の方。
以下の症状を訴えられてお越しになられました。
「肝臓真裏の背中が痛む」
「少し前まで、身体に力が入らなかった」
「高熱を出したが、病院の検査では内臓に異常はなかった」
「目の奥がすごく痛む」
「頭頂部やや下が痛む」
バラバラな症状に見えますが、実はこれらは原因は(ざっくりとにはなりますが)以下の一つに集約されていきます。
「【肝経】-【胆経】の異常」
見慣れない言葉が出てきましたが、「経絡」という言葉はご存知の方もいらっしゃると思います。
東洋医学では、身体に十二本の「エネルギーライン(=経絡)」を想定します。
その内の二本、【肝経】・【胆経】は「肝経=陰」「胆経=陽」の「陰陽表裏一体の関係」として、二本でワンセットと考えます。
この二本のエネルギーラインには色々なはたらきがありますが、「目・筋肉・関節を支配する」というはたらきも含まれます。
クライアント様の症状である「目の奥が痛い」「身体に力が入らない」がまずこれに当てはまります。
そして背中の痛みも、カルテに書いていただいた痛みの場所は、まさに【肝経】のゾーンの場所でした。
そして「原因不明の高熱=肝経異常」という図式もあります。
またこの【肝経】は「交感神経(=興奮時にはたらく自律神経)」とも関わっており、「怒り」に大きく影響されます。
見るからに温厚そうなクライアント様、聞けば「最近いつになく夫婦喧嘩をしてしまい、大いに怒ってしまった」とのこと。
一時的な大きい怒りにより、【肝&胆経】が異常な状態になった可能性が考えられます。
以上、今回は従来の筋肉アプローチはもちろん、【肝&胆経】の走行ラインをも意識した施術を行いました。
①まずは整体に入る前に、リフレクソロジー(足もみ)。
【肝臓】の反射区(≒ツボ)を押圧すると「痛む右眼の奥に響く!」と言われました。
この反応をみると、見立ては間違っていないようです。
しかし【肝経】【胆経】といっても、単に「肝臓」「胆のう」のことを示しているのではありません。もっと他のはたらきもそこには含まれているのです。
このことを反射区(≒足ツボ)で言うならば、【甲状腺】【副甲状腺】【脾臓】【胃】の反射区も【肝経】に大いに関係するのです(・・・うん?シャレ(笑)?)。
これらの反射区にも深く届くように押圧します。
②リフレを終え、ここから整体へ。
うつぶせ・横向き・仰向けと様々な角度より、全身の【肝&胆経】の走行ラインを意識して押圧。どの走行ラインもかなり強く反応されました。
特に
●右の背中の痛む箇所(=【最長筋】&【腸肋筋】)
●首横深くに位置する筋肉(=【斜角筋】)
(斜角筋を図示。この筋肉の位置に、ちょうど【肝経】【胆経】のラインが走っています)
に一番強く反応されました。
どれも【肝経】【胆経】が走行している箇所です。
ちなみにこの二つを押さえる時も、ずっと右眼への「響き」があったそうです。
以上のように、どんな症状でも同じアプローチをするのではなく、クライアント様の症状によって仮説を立て、反射区(足ツボ)&筋肉&関節&頭蓋&経絡をフルに考えて施術します。
今回の施術中、「身体の深部に響く感覚」を全身に渡って感じていただけたようです。
自分の整体は術後すぐよりは日を置いてから効果が出てきますので、その後一週間ほどお身体の経過を注意深く様子をみていただくようにお伝えしました。
その後クライアント様よりご連絡があり、次の日に痛みが消失したとのこと。がその後また再発したということでしたので、再度施術をさせていただきました。
ポイントである筋肉の処理が少し不十分であったので再発した可能性も考えられますが、次の日に痛みは消失したので、見立てが外れてはいなかったようです。
この症例はあまりに絵に描いたような、【肝経】-【胆経】異常からくる典型的パターンの症状でした。
このように普段はトリガーポイントを突き止めて症状改善を目指す<トリガーポイント・ドクター>として施術をさせていただいておりますが、
こうした経絡を視点に入れて施術をすることも多々あります。
目に見えない存在であるがゆえに、「整体不勉強者の隠れ蓑」とも評される経絡。
(「あー、それは経絡のせいですね。」とでも言っておけば、いくらでも施術者がクライアント様をごまかせることができますので。だって見えないものですから・・!)
ですがその真意をつかめば、施術に絶大な厚みが出てくるのです。
しかしこの「経絡理論」はあまりにも奥が深く、とても10年・20年でその真意をマスターしきれるものではありません。
それを既に会得されている私の師匠より、その極意の一端を今勉強させていただいているところです。
今後も精進いたします・・!