昨日、東京から一時間近くかけてご新規の方がお越しになられました。
左肩の前と後ろの痛み・重さ・だるさが出てから、かれこれもう七年間悩まされているとのこと。
近くの整形外科に行き、レントゲン検査のあとで「骨の異常」を指摘されたとのことですが、
ただ顔すら合わせることもなかった医師の診断だったため、かなりの憤りを感じておられました。
自分は「西洋医学」「病院」を否定しませんし、むしろ「ある場合にはそれしかない」とまで考えていますが、
こういった「患者の顔を見ることすらない」診察を多々聞くのは、本当に残念でなりません。
“医は「仁術」である”
から、
“医は「算術」”
になってしまった現状を嘆くばかりです。
ただそこに、我々「手技療法家」の出番があるというものです。
さてその方は病院ののち白金台の整体に通われていますが、他の症状は改善したものの肩だけはどうにもならないので、
こちらのブログ【症状改善集⑪】をお読みになり、当院へお越しになられました。
プレカウンセリングにてお聞きしたところ、
“温めると楽になる”
とのことですので、筋肉を緩めれば改善に向かう(整体で対処できる)可能性が高いと判断。
また以下のことも言われました。
Ⅰ.「左肘親指側が痛い」と感じる時がある
肘の親指側が痛い症状を「テニス肘」「主婦肘」といいます(肘の小指側が痛い場合は「ゴルフ肘」といいます)。
この「テニス肘」と、この方のメインの痛みとなる「肩の痛み」の両方の原因となる筋肉が実はあります。
①肩の筋肉(棘上筋)
Ⅱ.「腕を真横に出し、肘を直角に曲げて後に動かす」と痛みが増す
この動き(上腕を回転軸にして肩を外向きに回す)は「肩関節の外旋運動」といいます(下図参照↓)。
「裁縫で針を引く動き」「漫才でボケの胸を手の甲で叩いてツッコむ動き」です。
この「外旋運動」で一番働く筋肉が次の筋肉です↓。
②肩の筋肉(棘下筋)
筋肉は働くときに縮みますが、筋肉が原因の痛みは通常この縮むときに痛みが発生します。
「外旋運動でこの筋肉が縮むこと」
「この筋肉もまた肩の前・後ろ両方に痛みを送ること」
から②も原因で間違いないと判断しました。
Ⅲ.右腕で左肘を抱えて前にストレッチすると痛みが増す
これを聞いて「おや?」と思いました。
このストレッチだと②棘下筋が伸びます。
筋肉由来の痛みであれば「原因の筋肉(ここでは棘下筋)が伸びれば痛みが楽になる」ため、
普通は肩の痛みが楽になるはずです。
それが逆に痛みが楽になるということは、このストレッチポーズで縮む筋肉もあやしい(痛みに関与している)と判断しました。
このストレッチの動きは解剖学的には「肩関節の水平内転」といいます。
この動きに関与する筋肉は以下の筋肉です。
③胸の筋肉(大胸筋)
④「肩パット」に相当する筋肉(三角筋)
⑤力こぶの筋肉(上腕二頭筋)
この③~⑤はいずれも肩前の痛みの原因となりますので、ここの処置も見逃すことなく施術しなければと判断しました。
(また、「肘を張ると痛い」とも言われましたので、その場合は⑤の筋肉がさらにメインの原因として、処置の優先順位があがってきます)
このようにプレカウンセリングでクライアント様から頂ける情報が、施術の貴重なヒントとなります。
以上を踏まえて120分施術を開始。
左肩の痛みだけであれば60分施術でも十分対応できるのですが、120分いただけたことでより余裕をもって施術にあたることができました。
原因の筋肉にアプローチすると「痛い場所に響く」のですが、今回は①②③に「響き」がありました。
特に②に関しては、「肩の後ろを押さえられているのに、肩前の痛い箇所に響く」ことをとても不思議がられていました。
(肩の痛みでもう一つ重要なポイントが首の筋肉(斜角筋)なのですが、今回は手応えとして原因ではなさそうでした)
術後、すぐに「身体のリセット反応(好転反応)」が出られたようで、肩にだるさが出ているようでした。
(通常は翌朝になって出ることが多いのですが)
帰られた後、その日のうちにすぐ以下の通りメールをいただきました。
・だるさが抜けて今はとても軽くなった感じがある
・肩がちゃんとおりて首が長くなった
・肩甲骨をいつもよりずっと楽々と中央に寄せることができて嬉しい
・自分の背中を見ていつもよりずっと深くすっきりしたというか、いつも感じるはれぼったい不健康な背中でないことに感動した
はるばる東京からお越しいただいただけに、初回施術ですぐ改善感があったようで何よりでした。
七年間もの長い辛い症状だけに手ごわくなりそうですが、
根治に向けて次回の施術にも全力を尽くそうと思います。