50代、横浜在住の女性の方。
旦那様と共にご夫婦で、施術を受けていただいておりました。
このお二方は、自分が四年前から始めることになった東京&横浜出張施術の、初めてのクライアント様でもありました。
その意味で、ずっと記憶に残るクライアント様です。
その奥様が毎回の施術中、リフレ(=足もみ)の時にいつも、
そこを押されると頭のてっぺんにすごく響きます・・!
と言われるポイントがありました。
その場所は、足裏にある【足心】という「ツボ」でした。
このツボは足のほぼ真ん中、「人さし指と中指の間」と「かかと」を結んだ直線の真ん中に位置します。
ここで皆さんへ・・・。
よく「足ツボ」と言いますが、皆さんが「ツボ」としてよくイメージする、足にある数十カ所のポイントは、
「ツボ」ではありません。
実は「反射区」という西洋医学から生み出された「ゾーン」のことです。
その違いを以下にごくごく簡単に記します。
- ツボ(経穴)=東洋医学発祥。【経絡=(身体を流れるエネルギーライン)】を整えることのできる「点」⇒点なのでアプローチしづらい
- 反射区=西洋医学発祥。内臓や運動器官などの各器官とつながる末梢神経が集中している「面」⇒面なのでアプローチしやすい
「ツボ」は、足裏には片手で数えるほどしかありません(【湧泉】・【失眠】・【足心】、、、数えるほどです)。
よく「足ツボは足裏に数十か所あって・・」というお話がありますが、あれは「ツボ」ではなく「反射区」のことです。
その数少ない、足裏にある「ツボ」の一つである【足心】。
我が師である武田亜水先生によって、この【足心】の機能に関する様々な考察がなされており、そのはたらき・効果はとても一言では言い表せられませんが、
簡単に言うと、この【足心】で体内の気の循環がなされており、ここを押圧すると頭のてっぺんにまで響く感覚をクライアント様が受けることがしばしばあります。
(しかしその押圧にはかなり深く、ゆっくりとした圧が必要です。指をゴリゴリ動かすやり方ではまずこの【足心】に効かせられません)。
ちなみにこの【足心】の場所は、先ほど述べた西洋医学の「反射区理論」でいうと、【大腸】の反射区になります。
・・・前置きが長くなりややこしくなりましたが、以上をまとめて述べると、
クライアント様が足裏真ん中あたりを刺激されることで感じた「頭に響く反応」の原因は、
と判断しました。
さらに、毎回お身体の状況をお聞きしても特に消化器系の症状をお持ちではないし、特に他の内臓異常もないとのことでしたので、
この強烈な響きは②の「大腸異常」ではなく、
①の「【足心】刺激による強い反応」だろうと判断しました。
しかし毎回よく反応されるなぁ・・。毎日ハードワークだし、よほど体内循環が悪く気の呼吸がうまくいってないのかな・・・。
と毎回感じながら施術しておりました。
そして初回施術より一年ほど経ったある日、その方が言われました。
最近歩くたびに足の裏が痛く、足を引きずるほどなのです・・・。
ご家庭でとても大きい犬を飼っており、一日二回散歩に連れて行かれるのですが、その度に足の裏に激痛が走るとのことです。
一口に「足の裏」と言っても、指のあたりor土踏まずorかかと・・・、
足裏のどの場所が痛いかで対処法が大きく変わってきます。
痛みを感じるのは「足指の付け根(足底前方部)」とのことでした。
それを聞いて、今まで自分が見落としていた重要な一つの可能性にハッと気づきました。
この方が足の真ん中を刺激されたことで感じる「頭への強烈な響き」は、【足心】の「ツボ反応」ではなくて、
【足心】が位置する足裏真ん中の場所にある筋肉の、「強いコリ(=トリガーポイント)を刺激されたことによる反応」ではないか・・・。
【足心】がある足裏真ん中付近には、【短趾屈筋】という筋肉があります。
親指以外の四本の指を、床へと曲げるはたらきをする筋肉です。
そしてこの筋肉は、この方が悩む「足指付け根の痛み」のまさに原因となりうる筋肉です。
ここでご説明を・・・。
「足の指付け根(足底前方部)の痛み」の原因となる筋肉は、
以上の三つがメインの原因となります。
大抵は「靴」「痛風」「偏平足」などが原因だと言われますが、
多くの場合この三つの筋肉が大きく関わってきます。
案の定、この①から③の筋肉に対し意識して時間をかけアプローチすると、
いずれの筋肉にもかなりの強烈な反応を示されました。
(普段の施術でもこの筋肉には触れていましたが、意識してアプローチするのとしないのとでは、雲泥の差があります)
施術後は指の付け根の痛みがすぐ和らいだので、おそらくこの方の痛みの原因はこれら三つで間違いないと確信しました。
あとは月一回の施術ペースですので、これらの筋肉へ毎日できるセルフケア法をお伝えいたしました。
やり方は二つのみ、
- ふくらはぎのストレッチ
- ゴルフボールによる足裏のマッサージ
を簡単にお伝えいたしました。
それから一ヶ月後の次の施術時—。
あれから毎日セルフケアを実践していただいたようで、
足裏の痛みは無くなりました・・!
とのことでした。
それからは一切その痛みは出ておらず、「頭への響き」さえなくなりました。
ということはこの方の「頭への響き」は【足心】ツボの反応では全くなく、
凝り固まった筋肉への刺激に対する反応が、たまたま頭へと響いたのかもしれません(短絡的には判断できませんが・・・)。
今回自分はお客様からの反応を、①ツボの問題と②反射区の問題の二つで判断していましたが、
第三の、③筋肉の問題である可能性もあるということを、「頭に響く・・!」と言われた時点で、完全に見落としていました。
毎月一度の施術が知らず知らずのうちに「慣れ」になってしまい、判断を鈍らせていた(or思い込みをしていた)のかもしれません。
もしこのクライアント様が「足裏が痛くて・・・」と訴えられていなければ、
ずっと自分は①②の問題とばかり思い込んでいたと思います。
今回の症例は、当時「リフレパシー整体」をマスターしてまだ半年して経っていなかった自分に、
「あらゆる原因の可能性を考えるべき」という、とてもいい教訓を教えてくれました。
アメリカでは【Podiatry(ポダイアトリー :足病学)】という医学が確立されており、
【Podiatrist(ポダイアトリスト)】という足病外科医師専門の国家資格があり、
足専門の医者がいるほど、多岐にわたる足の症状が重要な問題とされています。
その点日本は、欧米にくらべると足の症状への意識はまだまだのようです。
(※ここ最近では、日本初の「足専門」のクリニックが表参道に生まれ、
昨年三月には「第12回日本フットケア学会」において、「米国における足病医の役割と治療の実際」と題しての講演があり、
米国における足病医の役割や日本との相違点、米国の足病最新治療などについての内容が話し合われたそうです
ようやく日本にも足への意識が高まってきつつあるといったところでしょうか・・・)
そういった中で、足の問題にまで対応できる自分達のような存在がもっと増えれば、より多くの方が救われるのではないかと思っています。